1年間いつも花があった献花台 世話続ける斜里町職員への遺族の言葉

 観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の沈没事故から1年となった23日、地元の北海道斜里町役場に設けられた献花台には、町民や観光客らが次々に訪れた。花が凍るような厳しい冬を越したが、献花台から生花が途絶えることはなかった。

 哀悼の思いを寄せる場となった献花台は、役場の職員たちが支えてきた。その一人が、健康子育て課長の茂木千歳さん(57)だ。

 保健師である茂木さんは事故直後、遺体の安置所となった町営体育館に詰めていた。各地から届けられた花束を前に、「このまま枯らせるわけにはいかない」と職員の有志で世話を始めた。体育館に献花台が設けられ、昨年6月、役場の玄関に移された。

 サクラにスイートピー、ヒマワリ、ユリ。春、夏、秋と移ろうたびに、献花台には季節の花が手向けられてきた。茂木さんらはその一つひとつを鉢に植え替えたり、栄養剤を与えたりしてきた。「花一本一本それぞれに、事故への思いが込められている。少しでも長く持たせたかった」

 事故を受けて、悲しみにくれているのは乗客の家族に限らない。同僚や友人、知床をかつて訪れた人、知床で暮らす人々もだ。きれいに保たれた献花台は、そんな行き場のない悲しみを受け入れてきた。

 季節が間もなく冬を迎えよう…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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