靴下を通じて、ものを大切に使い、ごみを増やさないための取り組みをしている靴下屋が福岡市にある。2枚で1足ではなく1枚ずつでも販売したり、靴下の生産時に出る輪っか状の端材をマスクのひもの材料として提供したり。靴下の主要な産地、奈良県広陵町で育った夫婦が営んでいる。
福岡市中央区六本松1丁目の住宅街。とあるアパートの前に「くつした」と書かれた看板がある。2階の一室が「六本松のくつした屋さん How’s That(ハウズ ザット)」だ。
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カラフルな靴下には、色の組み合わせなどからそれぞれ「名前」がついている。緑と深みのある青を組み合わせた靴下は、店近くにある大濠公園を連想し「オオホリ公園」。渋みのある赤と灰色の組み合わせは「アルプスの紅葉」。ほかにも「あの日のサーファー」「葛藤」「活火山」などユニークなネーミングがつけられている。
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2枚1組の1足としてだけではなく、1枚ずつでも購入できる。1枚なら700~800円、2枚なら1400~1600円(いずれも税抜き)といった具合だ。
2枚1組にならないものは捨ててしまうという生産工程があり、捨てる靴下を減らせる。客も、左右で違うサイズや色を選べたり、1枚なくしてもまた1枚だけ補充できたりできる。
店を営むのは、綾部舜(しゅん)さん(28)と妻の光里(みさと)さん(29)。2人は靴下の主要な産地である奈良県広陵町の出身で、小学校時代の同級生だ。
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舜さんは糸の商社に、光里さんは実家の靴下生産工場にそれぞれ勤めていた。仕事を通じて再会し、業界の未来について話した。
2人とも編み機の音を聞いて育ったが、業界は高齢化が進み、工場が少なくなって編み機の音も以前より聞こえなくなった。「もう一度、活気にあふれたあの音を町に響かせたい」と、新しいブランドを立ち上げることで意気投合。余って捨てられる靴下が出る現状を変えたいという思いも共通してあった。
地元から離れて新しいことをしようと、3年ほど前に舜さんの父親の出身地、福岡県に2人で移住。その後結婚し、昨年10月に店をオープンした。店にある靴下は、舜さんの知り合いの職人の工場と、光里さんの実家の工場でつくられたもので、形や柄は数百種類に上る。
ちょっとしたサービスも始まっ…
2種類
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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