新型コロナウイルスの経済対策として一律10万円を支給する国の特別定額給付金の給付率が、県内で9割を超えている。県によると、12日時点での全国平均の給付率は43・7%。大きく上回るスピードだ。
県市町振興課によると、17日時点での県内の給付率は90・6%。5月に受け付けが始まり、事務処理は各市町に任されているが、県庁にも4月下旬に特別定額給付金事業対策チームが設置され、市町と情報を共有して体制づくりを支援している。
ただ、県として目標を定めたり、給付を急ぐよう号令をかけたりしているわけではないという。予想以上の給付率に、担当者は「連休中も市町は備えていたと思う。そういう頑張りと、やっぱり『まじめえひめ』の県民性なんじゃないでしょうか」と話す。
県内で最も多くの事務処理を担う松山市。職員が「こんなに働いたのは初めて」とこぼす激務に追われた。17日時点での市内の給付率は92・7%と、県内でも平均以上。給付の早さの理由を聞くと、「先が見えない中、日々何とかこなしてきて、気がついたら早くなっていた」「人海戦術としか……」といった答えが返ってくる。
これまでに届いた申請は約24万件。申請書の発送や処理は基本的に県内の業者に委託しているが、返送されたもののうち、不備のある書類や代理申請など複雑なものについては、市特別定額給付金室の約30人が処理する。ピーク時の5月下旬には1日計300件ほどの対応が必要になり、各部署から土日と夜間に応援職員が入った。
受け付け開始前の4月中から早くも「振り込んで」という問い合わせが来るようになり、スピード感を求められていると感じてきた。特に給付金室の職員は、5月の連休前から休日を返上し、残業を重ねる生活が続いた。6月に入ってからは申請件数が落ち着き始め、担当職員も今週末はようやく休みがとれる。「壮絶な1カ月でした」。自身の給付金は、ピークが過ぎたのを見計らって申請したという。(足立菜摘)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル