「代表に立候補しようと思い立ったのは、『患者会は患者が動いてこそ』という思いがあったからです」
2021年7月。オンラインで開かれた国の指定難病「ウルリッヒ病」の患者会「ウルリッヒの会」の総会で、渡部耕平さん(16)があいさつをした。渡部さんもウルリッヒ病の患者で、この時、高校1年生。「患者会は患者一人ひとりの意思や志、その他たくさんの思いがつくり上げていくもの。患者自身が一歩踏み出して活動に参加していく先陣を切れればと考え、立候補しました」
ウルリッヒ病は、先天性筋ジストロフィーの一つに分類され、生まれた時から力が弱い▽ひじやひざの関節が硬くなって十分に動かせない▽手首や手指の関節が異常にやわらかい――などの特徴がある。進行性で、10歳ごろに歩けなくなり、10~20歳ごろには人工呼吸器を必要とするケースが多い。現在、根本的な治療法は確立していない。
渡部さんも、生まれた頃から握力が弱いなどの特徴があった。1歳ごろにつかまり立ちはできたが、転ぶことが多く、1歳半で大学病院などで検査を受けた。しかし、「何らかの筋肉の病気」と指摘されたが、具体的な診断名はつかないまま。小学校入学後に、リハビリで通う先の理学療法士から「このまま名前のない病気だと苦労する」と勧められ、別の病院を受診し、10歳でウルリッヒ病と診断された。
筋力が徐々に低下する進行性の難病「ウルリッヒ病」の患者会「ウルリッヒの会」。その先頭に立つ3人の高校生の姿を4回にわたって描きます。今回はその1回目です。
渡部さんは、幼稚園の頃はアスレチックにのぼることもできた。だが、小学校に入って学年が上がるにつれ、違和感を抱くようになったという。階段を上るのもつらくなった。普通は成長してできることが増えるはずなのに、成長に体がついていかない――。「やっぱり、ちょっとおかしいのかなって」
だから、病名がわかったとき…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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