新型コロナウイルス対策で国民1人に10万円を支給する特別定額給付金を巡り、西日本新聞「あなたの特命取材班」に福岡市の女性(56)から疑問の声が寄せられた。「単身世帯の義母が支給基準日(4月27日)後に亡くなったのに、申請書類が届いていなかったので『対象外』と言われた」。受給の可否が自治体によって異なる申請書類の発送日に左右されることに「不公平だ」と漏らす。 【写真】「かわいい」ヘアゴムで作る“ハンカチマスク” 女性によると、義母は鹿児島市の自宅に住民票を残したまま、グループホームで生活。5月20日に90歳で亡くなった。郵便物は女性宅に転送していたが、市から申請書類が届かず、6月10日に問い合わせたところ「給付されない」との返答だった。 総務省によると、基準日以降に死亡した人も給付対象だが、申請前に亡くなった義母のような単身世帯は「世帯自体がなくなるので給付されない」という。市の申請書類発送は5月28日に始まり、義母は対象外とみなされた。
「義母が延岡で暮らしていれば…」
ただ、発送日は人口などの関係で自治体によって異なる。女性の実母が暮らす宮崎県延岡市では5月8日から申請書類を発送。単身世帯でも申請後に亡くなれば遺族が相続できるため、女性は「義母が延岡で暮らしていれば受け取ることができたのに」と納得がいかない。 総務省特別定額給付金室は「同様の相談は複数の自治体から寄せられている」と認めた上で、「申請をしていない以上、権利は発生しない。制度について特段の変更予定はない」と話す。
「自治体の事務処理の都合によって支給の有無にばらつきがあるのは問題」
不公平をなくそうと取り組む自治体もある。長崎県大村市は11日、基準日に市内に居住していた単身世帯については、申請書類の発送前に死亡しても遺族に10万円を支給すると発表した。 社会保障に詳しい北九州市立大大学院の工藤一成教授は「自治体の事務処理の都合によって支給の有無にばらつきがあるのは問題だ。例えば基準日に沿ったシンプルな給付にするなど、国は制度設計を見直すべきだ」と指摘する。(古長寛人)
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