発生からほぼ11年がたったコールドケース(未解決事件)が動いた。神戸市北区の路上で2010年10月、高校2年の堤将太さん(当時16)が刺されて死亡した事件で、兵庫県警は4日、当時17歳だった愛知県の男(28)を殺人容疑で逮捕した。現場近くで当時暮らしていたとされる男が捜査線に急浮上した背景は――。
発生から10年余 現れた捜査員
「お知り合いについて教えてほしい」。神戸市北区の現場近くの住民のもとに、兵庫県警の捜査員2人が突然姿を見せた。まだ肌寒い今年3月だった。
尋ねられたのは、かつて近所に住んでいた高齢女性についてだった。趣味の教室で知り合い、10年ほど前まで付き合いがあった。
スーツ姿の捜査員は、1人が質問しながらメモを取り、もう1人は黙ったまま。生活ぶり、人柄、先立った夫のこと、遊びに来ていた孫たちのこと。1時間ほどにわたって細かい質問が続いた。
捜査員は女性がすでに故人になっていると告げた。「なぜ亡くなった人のことを」。捜査員の意図はうかがえなかった。
堤さんが殺害されて10年余りたっていた。ただ、捜査員はどの事件のことかは明かさず、「いろいろな案件を抱えていますから」と言葉を濁した。
数日後、県警からまた電話があり、高齢女性の孫について話した内容を確認された。
今月4日、容疑者逮捕が報じられた。逮捕された男が高齢女性の孫の一人だったと地域の人から聞いた。
捜査関係者によると、男は事件当時、女性宅に身を寄せており、事件後ほどなく県外へと移った。
男は周囲に「人を殺したことがある」と語ったことがあったという。県警は昨年、この情報を入手し、裏付け捜査に動いた。
容疑者の男 当初は「把握していなかった」
DNA型鑑定技術の進化によって捜査は動いた。複数の捜査関係者が認める。
決め手の一つは、堤さんの衣…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment