「海よ光れ」と題した学校新聞の「号外」が、今年1月に発行された。今は廃校になった岩手県の小学校で、12年前にこの新聞を毎月作っていた当時の5、6年生が手がけた。なぜ、いま? タイトルはどこから? 取材してみると、当時の学校と地域のつながりや、今も続く友情や故郷への思いが伝わってきた。
「三陸で育った大沢の子から 読者の皆様へ」
縦約31センチ、横約19センチ。記事が表裏に記された号外のトップの大きな見出しは、岩手県山田町立大沢小学校で12年前に児童会長だった中村奈緒さん(25)が、レタリングしたものだ。
記事では、同級生だった大川海成さん(24)が「困難に直面したときには、助け合いがもたらす幸せと人の強さを思い出して」と書いた。武藤愛さん(24)は囲み記事で、「一日を精一杯生きること」と。
号外は、当時の手法のまま、手書きの原稿を台紙に切り貼りして作られた。
発行のきっかけは、児童文学作家の田沢五月さん(66)だった。田沢さんは12年前の同校に注目し、「児童の活動や地域との絆の強さを書き残しておきたい」と、閉校が迫っていた大沢小の取材を進めた。
「伝える立場にならないと」
今年1月に児童向けノンフィ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル