東京都の公立中学校教諭、前川智美さん(33)は、教員5年目だった2015年度、バレーボール部の主顧問になった。複数いるなかの筆頭格の顧問だ。
朝練がある日は午前7時過ぎに学校へ。指導後、担任として学級へ行き、授業が始まる。
当時受け持っていた授業時数は、中学教員としては多い週20時間超だった。
多くの日は空き時間が1コマしかない。その短い時間を印刷や学級便り作り、保護者への電話連絡に割く。連絡なく欠席した子の自宅に自転車をとばしたことも、たびたびあった。
放課後は部活や生徒会の指導。午後6時半に生徒が帰ると、買ってきた夕食を職員室で口にし、翌日の授業の準備や事務作業に取りかかる。
帰宅は午後9時を過ぎるのが常で、未明にタクシーで帰ることもあった。
さらに、土日はほぼ毎週、練習や試合があった。
試合の後は他校の教員との飲み会。次の練習試合を組んでもらおうと、飲みながらお願いすることが多かった。
24時間、常に生徒のことを考え、いつ休んだか記憶にない。
ただ、前川さんにとっては楽しく、苦痛ではなかった。「目の前の生徒がかわいかった」からだ。
連載「いま先生は」
授業だけでなく、事務作業や保護者対応、部活動……。さまざまな仕事を抱え、悩み、疲れ、それでも前に進む。そんな先生たちのリアルな姿を報告し、働き方のこれからを考える連載「いま先生は」。第3部では、部活指導の実態を取り上げ、今後のあり方を探ります。
すべての時間、仕事に捧げた20代
異動まで3年間、同じような働き方を続けた。結婚や出産を経て育休中のいま、振り返ってこう思う。
「教員人生に必要な経験だっ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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