昨年10月、三日月大造・滋賀県知事と大杉住子副知事が、児童自立支援施設の県立淡海(たんかい)学園(甲賀市)を初めて視察した。知事らは佐伯洸平さん(32)、香菜さん(41)夫妻が運営する甲賀寮で、6人の子どもたちと夕食のカレーライスを囲んだ後、学園職員との意見交換に臨んだ。
岩井健一園長(61)は「学園には『15歳の壁』があります」と口火を切った。「中学卒業後も残れる施設をつくってほしい」
岩井園長には「自分が学園にいる間に道筋をつけたい」との思いがあった。
今春、学園を退所して一人暮らしを始めたセイジ(18)。中学卒業後も働きながら学園で生活する、十数年ぶりの「年長児」だった。
学園の入所対象は原則18歳以下。だが、学園内には小中学校の分教室しかない。高校や勤務先に通うには不便な山あいにある。
これまで、学園の子どもは中学を卒業すると、多くは自宅に戻っていった。だが岩井園長は「中には家に帰せない、帰りたくない子もいた。職員も子どもも、学園を出るしかないと思っていた」。
「年長児が暮らせる施設があれば」
学園で規則正しい暮らしを送…
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こぼれ落ちる子どもたち
虐待、貧困、性被害……。大人がつくった支援制度からこぼれ落ち、困難に直面している子どもたちがいます。今の国会では、「こども家庭庁」の設置法案などの審議が始まり、子ども政策の転換点を迎えます。今後、子どもたちに救いの手が届くのでしょうか。リアルな声とともに伝えます。[もっと見る]
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル