18歳未満の娘と性交したとして監護者性交の罪に問われた40代の男に対する差し戻し後の一審判決が15日、福島地裁であった。柴田雅司裁判長は懲役6年の実刑を言い渡した。焦点となった娘の証言を巡る検察の訴訟活動の不十分さも指摘した。
判決によると、男は2018年8月3日、同居する当時16歳の娘と自宅で性交した。
行為があったことを示す決め手となる物的証拠はなく、裁判では娘の証言の信用性の有無が焦点となった。福島地裁郡山支部は19年3月、懲役6年の実刑判決を言い渡したが、仙台高裁の控訴審では、犯行時刻などをめぐる娘の証言が男のスマートフォンの利用履歴などと矛盾しているとして、審理を福島地裁に差し戻していた。
判決は娘の証言が事実と整合しないと認めつつ、その理由は娘が記憶があいまいなまま、証言の重要性を認識せずに供述したためと指摘。「原審を担当した検察官の不十分な訴訟活動」が原因であり、娘が意図的に虚偽の証言をしたわけではないとして、犯行に直接関係する娘の証言の信用性を認めた。
福島地検の矢部良二・次席検事は検察側の不手際を認め、「被害者の方に負担をおかけしたことは申し訳ない」と謝罪した。
園田寿・甲南大学法科大学院教授(刑法)は「監護者性交のように物的証拠が残るとは限らない性犯罪では、被害者の証言は極めて重要。検察や警察が捜査段階で証拠と精査しながら調べていれば矛盾に気づけたはずだ」と指摘した。(飯島啓史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル