国立大学病院長会議は13日の定例記者会見で、2019年10月の診療報酬改定が病院経営に与えた影響の調査結果を公表した。速報値では、42の国立大学病院の合計で1月当たり約2億7,000万円分の補填不足があったという。山本修一会長(千葉大学医学部附属病院・病院長)は「実質マイナスと捉えている」との認識を示した。【吉木ちひろ】
調査では19年10月の診療実績データをベースとして、改定前の点数・税率(8%)を当てはめた試算データと実績値を比較した。収益は19年10月のDPC実績データ、費用は国立大学病院の管理会計システムを使って算出した。それによると、改定に伴う収益増加額は約6億8,250万円だったのに対して、消費増税に伴う費用増加額は約9億5,346万円だったという。
会見で、山本会長は調査結果について「2、3カ月まとめてみないと正確な数値は分からない」部分があるとしながらも、42の国立大学病院のうち、収支差がマイナスになったのが39病院あったことを明らかにした。この中には、マイナス幅が2,000万円に達する病院もあったという。
診療報酬請求データを基にした計算では、42病院で消費税5%時と10%時を比較した補填率は105.6%になった。山本会長は、薬価の切り下げに伴ってDPCの係数が変わったことや、そのほかの経費が増えたことによる影響によって実態はマイナスだったとしている。
また、山本会長は会見で、増税に伴う医療材料の価格交渉時に、税抜き価格の引き上げをメーカーや卸業者から併せて提案される「便乗値上げ」の事例が確認されていることにも触れた。各大学で適切な交渉を進める考えを示した上で、「あまりにも横行するようであれば、必要に応じて厚生労働省などには要請をしていきたい」とした。
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