19年ぶりのフライト 音に敏感な子の母の背中を押してくれたもの

 19年ぶりの空の旅だった。

 「ほら、飛んだよ」

 昨年10月12日朝、JAL(日本航空)便が羽田空港から飛び立った。

 主婦の斎藤恵美子さん=東京都=は隣に座っていた長男の由葵(ゆうき)さん(17)に声をかけた。

 少し経つと、気圧のせいで耳が聞こえにくくなった。

 「こんな感じだったなあ」

 元々、飛行機での旅行が好きだった。

 独身時代は年に2回海外に行くほど。それなのに、飛行機を避けていたのは由葵さんを心配してのことだった。

発達障害や知的障害のある子どもたちにも空の旅を楽しんでもらおうと、搭乗前に疑似体験してもらう取り組みが始まっています。あらかじめ雰囲気を知ってもらうことで「日常と違う」というバリアーを取り除くねらいです。航空会社にとっても、障害の特性に応じて必要なサービスを把握できるメリットがあるといいます。

 由葵さんは生まれつき、音に敏感だ。掃除機やインターホン、電話の呼び出し音など機械的な音が突然流れると、大きな声を上げたり、涙が出たりする。急な予定変更も苦手。電車での旅行はできていたものの、恵美子さんは「いろいろな音が出るのでパニックを起こして、他の人に迷惑をかけてしまうかも」と飛行機の利用をためらっていた。

非日常のストレス、克服のためには

 そんなとき、知人に聞いたの…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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