2度目の挑戦でつかんだ夢 自暴自棄だった自分を救ったフラガールに

 フラダンスのショーで知られる福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズで7日夜、茨城県日立市出身の19歳がダンサーとして初舞台を踏む。一度は採用試験に不合格になったものの、憧れの舞台に立つことをあきらめず、再挑戦して夢をかなえた。

 デビューするのは、番内美咲さん。「見てくれた人の心を揺さぶるような踊りができたら。コロナ禍で暗い気分になっている人にも、希望の光を感じてもらえれば」と意気込む。

 中学2年のとき、ため息ばかりついていた。卓球部の厳しい練習に戸惑い、友達づきあいにも苦労した。思い通りにならないことばかりで、自暴自棄になりかけていた。

 その夏、両親と訪れたハワイアンズで、初めて公演を最初から最後まで見た。カラフルな衣装を身にまとったダンサーが笑顔で踊り始めると、曲に合わせて体を自由自在に操る姿に、一気に引き込まれた。

 自分もこのステージに立つんだ。生まれて初めて夢ができた。

 「厳しい世界だからやめておきなさい」と両親に反対されても、くじけなかった。食卓で両親に思いを伝え続け、中学3年から、フラダンスとタヒチアンダンスの教室に通い始めた。

 2カ月に1度は、ハワイアンズの公演を見に行った。「今週末にはショーがあるから、がんばろう」。学校に行きたくない日は、こう自分を奮い立たせた。

 茨城県立高萩清松高校に入学後、クラシックバレエも習い始めた。ダンス教室の受講料や交通費は、ラーメン店でアルバイトをして稼いだ。

 高校3年の秋、ハワイアンズに初挑戦したが、面接で思いを伝えきれず、不合格だった。「もっと会話力を磨かないと」。そんな思いから高校卒業後、日立市内のコーヒーチェーン店で働き始めた。客への声かけを意識したら、数十人の客と仲良くなれた。ダンスの練習も続け、2021年秋の採用試験に合格した。

 4月下旬から、2人の新人ダンサーと一緒に練習を始めたが、「本当に自分が合格したのかなと、信じられない思いで過ごしてきました」と話す。

 練習で特に難しかったのは、ニュージーランドの先住民マオリの「ワイアタ・ア・リンガ」だった。ひもの先に球をつけた道具「ポイボール」を使う。慣れない道具を使いこなすため、急いで昼ご飯を食べ、自主練習に励む日々だった。

 七夕の7日夜は、新人3人を含む27人のダンサーが、映画「フラガール」でも使われた「オテア」など6曲を踊る。「初舞台から1週間後ぐらいに、デビューできたことが実感できればいいかな」(西崎啓太朗)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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