京都府宇治市の天ケ瀬ダムは琵琶湖の水をためて宇治川に注ぐ。高さは73メートル。眺めを楽しもうと観光客が多く訪れる。
8月8日の訪問者は違った。
ダム頂上の通路から下を見たかと思うと、その若い男性は2度、欄干の土台のブロックに足をかけた。ブロックといっても高さは約1メートル。とても危ない。
監視員は見逃さなかった。
福田勤さん(73)。家電営業の仕事を定年退職した後、ハローワークでこの仕事を見つけ、ダムの安全を守ってきた。
「どこから来はったんですか」
昼食から戻るとすぐに異変を察知。男性を刺激しないよう歩み寄り、やんわりと声をかけた。
「足をかけはったんと違いますか。どうしたんですか」
「死にたい」
男性は力なく座り込み、そう漏らした。
福田さんは覚えていた。前日…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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