札幌市の池田詩梨(ことり)ちゃん(当時2)が昨年6月に衰弱死したとされる事件で、保護責任者遺棄致死の罪に問われた母親の莉菜被告(22)の裁判員裁判の判決が20日、札幌地裁(石田寿一裁判長)であった。地裁は「食事を与えるという最も基本的な責務を果たさず、生存の確保をないがしろにして誠に悪質」として、懲役9年(求刑懲役14年)を言い渡した。弁護側は控訴を検討すると明らかにした。
判決によると、莉菜被告は交際相手の藤原一弥被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役13年の実刑判決、控訴=とともに、昨年5月15日ごろから詩梨ちゃんに必要な食事を与えず、藤原被告の暴行によるけがの治療を受けさせないで放置し、低栄養状態に陥らせて同6月5日に衰弱死させた。
死因が主な争点で、莉菜被告は「ごはんを食べさせていた。娘は死亡直前も自分で歩き食事していた」などと無罪を主張。弁護側は医師2人を証人に立て、吐いた食べ物をのどに詰まらせたことによる窒息死だと訴えた。
判決は、遺体を解剖した医師の見解に基づき、同5月31日ごろには衰弱が進み、生存のため保護が必要な状態にあったと認定。暴行によるけがが衰弱の程度を強めたとし、死亡の数時間前には高度の意識障害も生じていたと推認した。
また、体重約8・2キロだった詩梨ちゃんが同4月下旬から約6週間でその約18%が失われるほど低栄養状態だったと認め、「明らかに特異だ」と指摘。詩梨ちゃんの身の回りの世話をしていた莉菜被告が体重の減少やけがに気がつかないのは不自然だとして、莉菜被告の供述は信用できないと断じた。
さらに、詩梨ちゃんを1人で部屋に残して藤原被告と長時間外出していたと指摘し、「機会があったのに育児支援を受けようとせず、藤原被告との遊興や関係維持を優先させ、あまりに無責任だ」と批判した。(前田健汰)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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