シンプルでわかりやすい「日本語」を使って、日本語にまだ慣れていない外国人にも情報を提供する「やさしい日本語」。
「小難しい」言葉の代名詞ともいえる「お役所言葉」もやさしくするべく、ある自治体が本腰を入れました。やさしい日本語の「発祥の地」ともいえる、神戸市です。 【画像】外国人が経験した「恐怖の通知」、実際の写真がこちら。「怖すぎる」やさしい日本語じゃないと しかし、若手や外国人職員の推進チームの前に立ちはだかったのは「慣例の壁」。健康保険をどう説明すればわかりやすいのか。頭を悩ませるのは、表の顔は公務員、裏ではSASUKE完全制覇を目指しているマッチョな北風さん。公文書は「完全制覇」できるのか? 役所内のさまざまな声の板挟みに、ふと漏らした本音には、さまざまな国のルーツの人が当たり前のように一緒に暮らす時代への、ヒントがあるかもしれません。一緒に、のぞいてみませんか。
トレーニング室のダイバーシティ
外国人職員の経験を聞いて、家に届く「恐怖の通知文書」の存在に気づいた神戸市職員。そこで、郵送される「国民健康保険の更新のお知らせ」や、窓口で渡す「国民年金、国民健康保険」の説明書きを、外国人にも分かりやすい「やさしい日本語」にしようと、奮闘を始めました。 「そもそも、外国人に分かりやすい文書って、どんなものだろうか……」 中央区役所で国民年金の事務を担当する北風さんは、考えていました。 【北風さん】 仕事終わりに兵庫県立体育館のトレーニング室に通う。月1回の閉館日以外は欠かさない日課だ。 トレーニング室を見渡すと、まるで小さな「多文化共生社会」だ。フランスと日本の治安の差について話すフランソワさん(40代)はフランス人。日本語はまだたどたどしくても、なぜか日本の「若者言葉」が流暢なドク君(10代)はベトナム人だ。 「ケンコウホケンシカクソウシツショウメイショを持ってきて下さい」 役所の先輩が、受話器越しに、20回ぐらい同じ言葉を繰り返していた姿が目に焼き付いている。きっと問い合わせをしてきた外国人は、「健康保険資格喪失証明書」という言葉を、見たことも聞いたこともなかっただろうな。 言い方を工夫して、簡単な言葉にしたらどうだっただろうか。 時間はかかるかもしれないけど、相手が理解できるまで、表現を変えてみて、説明することが大切だと考えた。 たとえばこんな風に。 「会社を辞めると、会社を辞めるまで持っていた健康保険証の資格が無くなったという証明を会社が作ってくれます。その健康保険の資格が無くなったという証明書を資格喪失証明書と言います。その証明書を持って来て下さい」。 20回、同じ言葉を繰り返すより、きっといいはずだ、そう思って僕は実践してきた。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース