20歳で妊娠、父の死、離婚…運命の1冊で「死」にのめり込む

僧侶 松山照紀さん

 小学校低学年で祖父を亡くして死に関心を持った私は、中高生時代には下手ながらも卓球に打ち込み、地元・福岡県の大学へ進みました。しかし20歳の時、予期せぬ妊娠が発覚。当時交際していた卓球サークルの仲間と結婚し、中退して長女を産みました。夫は大学を卒業して就職し、神奈川県平塚市に赴任したので、私たちも引っ越しました。

 やがて2人目を身ごもった私は、里帰り出産に備えて長女と実家へ戻りました。その直後、父が突然死してしまったんです。農業を営む父は作業中、トラクターのタイヤにもたれかかるようにして亡くなっていた。近所でも評判の働き者で、多くの人に惜しまれました。入れ替わるように次女が誕生して、私は家事と育児に追われました。

 実はここから約1年間、私に異変が起きました。何をしても心が動かず、特に「楽しい」「美しい」といったポジティブな感情が一切湧かない。悲しみだけが時折、襲ってきます。

 そのころ、夫が自分の故郷で…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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