【A Scene】傷だらけのウルトラマン~息子が「連れて帰る」と言ったわけ~〈本編は記事後半にあります〉=諫山卓弥、西田堅一撮影
しろつさん(45)を初めて取材したのは3月上旬。
聞かせてもらったのは、ひとり息子・はるたくん(4)とのエピソード。
家族でリサイクルショップに立ち寄った際、はるたくんがウルトラマンの人形を見つけたときのことだ。
ソフトビニール製で表面の塗装がはげており、値札には税込み200円と書かれていた。
しろつさんも気づいていたが、何とも思わずスルーしていた。
はるた君に「帰ろうか」と声をかけると、そのウルトラマンを「連れて帰りたい」という。
「ボロボロだけどいいの?」と尋ねたら、こんな答えが返ってきた。
「だって、このウルトラマンはたくさん戦って、みんなを守ってケガだらけなんだよ。かわいそうだから連れて帰る」
自分は見て見ぬふりをして通り過ぎた人形に、そんな思いを抱いていたのか。
うれしくて目の前がにじみ、買って帰ることにした。
自宅に着くと、はるたくんは大事そうにウルトラマンの体をなでていた。
しばらくしたら横に寝かせて、体にばんそうこうを貼って「治療」が始まった。
自分の布団で一緒に眠る姿が可愛かった――。
そんな話を聞かせてもらい、書いた記事だった。
半年後に自宅を訪ねて
それから約半年が経った8月下旬。しろつさんの自宅を訪ねた。
約束の3時間ほど前に新幹線の最寄り駅に到着し、昼食を食べていた時に、しろつさんからLINEでメッセージが届いた。
「予定通りですか?」
すでに到着していると返すと、返信があった。
「いま車に乗ってるんで拾いに行きますよ。ぜひ一緒に寄ってもらいたい場所があるんです」
向かった先で見せてもらった…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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