200年以上の伝統が自分の代で絶える 9代目の「鬼師」が見る光

 光野錦松さん(70)は「鬼」をつくる職人だ。だから「鬼師」を名乗る。

 愛媛県今治市菊間町の伝統工芸、菊間瓦は独特の「いぶし銀」で知られる。

 菊間で江戸時代から200年以上続く窯元の家に生まれた。代々、鬼瓦をつくるのを本業としてきた窯元「錦松工房」を営む。

 2022年も、翌年のえと「卯(うさぎ)」の置物を瓦粘土で作った。師走に入り、顔なじみの客らが買い求めていく。

 いま、鬼瓦を作る機会はほとんどない。仕事の9割は置物などの工芸品。「鬼」を作らない鬼師となって久しい。

 ところが、頼みの綱の置物の需要も先細っている。後継者はいない。工房の鬼師は、9代目の自分で絶える。

 光野さんは大学を卒業し、東…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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