文部科学省は21日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への「報告徴収・質問権」の行使を宗教法人審議会に諮問し、了承を得た。文科省は教団の解散命令を裁判所に請求することも視野に、報告を求める事項を22日にも文書で教団に送り、権限を行使する。12月上旬までの回答を求める方針だ。オウム真理教事件を機に1995年の宗教法人法改正で設けられたこの権限が初めて行使される。
宗教法人法は、「法令に違反して著しく公共の福祉を害する」行為など、解散命令の要件に該当する行為をした疑いのある法人に対して、①報告を求めたり、②質問をしたりすることができる。これが「報告徴収・質問権」で、行使にあたっては、報告を求める事項や質問事項を同審議会に示し、意見を聞かなければならない、と規定している。
審議会は、法学者や宗教者ら19人の委員で構成されている。この日の会合は非公開で行われた。終了後の文科省の説明によると、組織・運営と収支・財産に関する内容について①の報告を求めることを諮問。異論は出なかったといい、審議会は行使について「相当と認める」と答申した。
文科省によると、今後、まず報告を求める事項を文書で教団に送り、回答を求める。さらに別の事項について報告を求める場合には、その内容を審議会に諮問し、了承を得る手続きが必要となる。また、教団施設に立ち入って質問する必要が生じた場合は、宗教法人法に基づき、審議会の了承とともに教団側の同意を得なければならない。同法には、報告しない、虚偽の報告をしたなどの場合は10万円以下の過料を科すとの罰則もある。
教団をめぐっては、岸田文雄首相が10月17日の衆院予算委員会で報告徴収・質問権を行使して実態解明を目指す考えを表明。この権限は行使された前例がなく、文化庁の有識者会議が11月8日、所属する人物の行為について民事・刑事を問わず公的機関が法令違反と認めた判断があり、かつ法令違反行為が繰り返されるなどの場合に調査できるとの行使基準を決定した。
これを受けて永岡桂子文科相は今月11日、教団をめぐり組織的不法行為や使用者責任を認めた民事裁判の判決が22件あることなどを挙げ、教団が基準を満たすと判断、報告徴収・質問権行使の意向を表明した。
文科省は調査で集まった材料を踏まえて、宗教法人法に基づく解散命令を裁判所に請求するか判断する。
■教団への質問内容、文科省は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル