架空の人物の戸籍を作り、その24歳年下の人物になりすましたとして、73歳の女らが10月、警視庁に逮捕された。免許を取ろうとした際に見破られ、「若ければ差別を受けない」「若く見られたい」と供述した。架空の人物の戸籍は、作ることができてしまうのか。
2022年10月、東京都品川区。鮫洲運転免許試験場の窓口を一人の女が訪ねた。「岩田樹亜(じゅあ)」という名前の住民票とマイナンバーカードを手に、原付き免許を取りたいと申し出た。
原付き免許は、学科試験などで最短1日で取得できる。試験場の職員は手続きを始めようとしたが、違和感があった。
手元の書類だと女は48歳。だが、目の前の女はどうしてもそうは見えなかった。「あなた本人じゃないでしょ」。職員が質問を重ねていくと、女は目を泳がせた。
「岩田樹亜」が、この世に存在しない人物であることが判明するきっかけだった。
警視庁は今年10月、試験場窓口に現れた警備員の吉野千鶴(73)と、夫で会社員の幸彦(65)の両容疑者を有印私文書偽造・同行使などの疑いで逮捕した。住民票やマイナカードは正規の手続きで作られた本物だった。
なぜ、どのようにして架空の人物を生み出したのか。捜査関係者らへの取材で経緯をたどる。
悪用された「就籍」の手続き
始まりは2年前の21年11…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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