名古屋の新栄町駅近くにある「ラジオデイズ・レコード」。
5年前に店主の山田祐二さん(60)がひとりで始めた中古レコード店だ。
週末は開店直後から音楽好きでにぎわい、それぞれが思い思いにレコードを「掘る」姿が見られる。
3年前の11月1日、高校生くらいの男の子が祖父とともに来店した。
平日の昼間なのに、学校はどうしたんだろう?
そんなことを思いながらも、山田さんは「おっ、若い子が来るなんてうれしいね」と声をかけた。
彼はやはり高校生で、はるばる金沢から祖父の車でやってきたという。
好みを尋ねたら、少し照れながら「ジャズが好きなんです」と言った。
ベースが好きだというので、それならばと入荷したてのLPレコードを勧めた。
サム・ジョーンズの「ザ・ソウル・ソサエティ」だ。
シティポップにも興味があるというので、山下達郎の「FOR YOU」も引っ張り出してきた。
話をしたのは20分ほどだったと思う。
彼は25枚、約8千円分のレコードを購入した。
帰り際に「必ずまた来ます」と言い残して。
3年後に届いた手紙
今年7月上旬、ラジオデイズ・レコードに簡易書留の封筒が届いた。
「こわれもの」のシールが貼られていて、中には手紙も入っている。
筆圧の弱い、たどたどしい字で「2019年11月1日に金沢から訪れた、当時高校生だったものです」とあった。
あぁ、あの時の高校生か。
そう思いながら読み進めると、驚くべき内容が書かれていた。
◇
買った20枚以上のレコード…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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