山本逸生
大阪府摂津市のマンションの浴室で2021年、交際相手の女性の長男(当時3)に高温の湯を浴びせ続けて殺害したとして、殺人などの罪に問われた無職松原拓海被告(25)の裁判員裁判の公判が4日、大阪地裁であった。検察側は「極めて悪質で、危険極まりない行為だ」と述べ、懲役18年を求刑した。
松原被告の起訴内容は、21年8月、浴室で新村桜利斗(おりと)ちゃんに高温の湯を浴びせ続けて全身にやけどを負わせ、熱傷性ショックで殺害したなどというもの。検察側は冒頭陳述で、桜利斗ちゃんのやけどの状況を「高温の湯をまんべんなく浴びた状況」と指摘し、「被告が意図的に浴びせた」と主張していた。
これに対し、弁護側は冒頭陳述で、松原被告がお仕置きのために桜利斗ちゃんを浴室に入れ、高温のシャワーを浴槽に向けた状態で施錠したとし、殺人罪ではなく傷害致死罪にあたると主張した。被告人質問で松原被告は、施錠した後に様子を見に行くと、シャワーの向きが変わり、倒れている桜利斗ちゃんに湯がかかっていたと述べた。
証人尋問では、やけど治療が専門の大学教授が出廷し、桜利斗ちゃんのやけどの状況について「全身を一周ぐるっと回っている。転倒した状態などでこのようなやけどは考えにくい」と証言。一方、法医学が専門の名誉教授は、湯を避けようとした痕跡がないと指摘し、「湯がかかり驚いて失神したことなどが推測できる。横たわったところに均一に湯がかかったと思われる」と述べた。(山本逸生)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル