その白い封筒が届くのは、決まって月末だった。
送り主は「町内一主婦」。5千円札が1枚、入っている。1994年2月から約30年間、毎月欠かさず、郵送されてきた。
宛先は、「福島市社会福祉協議会飯坂協議会」。事務局を担う市飯坂支所の市民係、木本正弘さん(64)は3年ほど前、前任者から「一主婦(いちしゅふ)さん担当」を引き継いだ。以来、楽しみにしていたのが、同封されている手紙だ。
「夕食には春先に植えた春菊を食膳に」
「ナデシコが暑さに負けず、咲いています」
「庭の藤の花が満開となりました」
毎回、紅葉やツバキなどの挿絵があしらわれた便箋(びんせん)に、自宅の庭や畑で育っているとみられる草花の成長がつづられる。室内での仕事が多い木本さんら職員にとって、季節の移ろいを感じさせてくれる存在だった。
3回目の感謝状 「直接お渡ししたいね」
今年の6月末。こんな手紙が届いた。
「長年働いた会社を退職し…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル