青森県弘前市の中心市街地から車で約30分。雪の壁が続く山道を越えた岩木山の南麓(なんろく)に「嶽(だけ)温泉」はある。300年以上の歴史があるとされる小さな温泉郷に、昨年末から大きな問題が持ち上がっている。
硫黄の香りがほのかに漂う入り口を入ると、6軒の旅館が身を寄せ合うように立つ。だが明かりは消え、玄関前に除雪されていない雪が、そのまま積み上がっているところもある。
「全国旅行支援もあって、コロナ禍で減った客も戻りつつあったのにやりきれない」。江戸末期に創業された「小島旅館」当主で、嶽温泉旅館組合の小嶋庸平組合長は、苦しい胸の内を明かす。
小嶋さんによると、嶽温泉には温度と泉質の異なる四つの源泉があり、各旅館ではこれまで、源泉を混ぜ合わせて、風呂の温度や泉質を調整してきた。
ところが昨年12月28日以…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル