1日夜、那覇市中心部の国際通り。沖縄料理店「ぶらんちゅ」では、常連客や観光客が生ビールやハブ酒で乾杯していた。
仕事帰りに訪れた那覇市の佐々木裕正さん(41)は「まだ不安がある中でも、こうして顔なじみの店で気兼ねなく飲めるのはうれしい」と語った。これまでコンビニ弁当などを部屋で1人で食べていたという自営業の男性(59)は「できたての味はやっぱりおいしいね。ワクチンも打ち終わったので、安心して飲める」と笑顔を見せた。
店で酒を出すのは、緊急事態宣言が出る前日の5月22日以来。これまでは客の大半は県外からの観光客で、コロナ禍の前は海外客で満席になることもあった。宣言下では、酒類は提供せずに午後8時までの営業を続け、9月はテイクアウトとデリバリーに専念した。売り上げは以前の3~4割に落ち込んだ。
要請に従わずに遅くまで酒を提供する店もあったが、「深夜まで開けている店は『密』な感じがして怖い」とテイクアウトを頼んでくれる客もいた。店長の阿久根奈波さん(30)は「励みになった。これからはお客さんとの交流も楽しみたい」と話す。
沖縄の新規感染者は減少傾向だが、人口比では全国最多。県はリバウンドを懸念し、独自の要請として10月末まで飲食店に酒の提供を午後7時(認証店は午後8時)、営業を午後8時(同午後9時)までにするよう求める。
宣言下で休業していた国際通り近くの居酒屋「ちろり」は、数日前から調理機器の点検や食材の仕入れに追われた。店の売りは、全国から取り寄せる季節の日本酒。栓が開いている酒は春のものばかりで、一部は泣く泣く処分し、秋の酒に入れ替えた。
店長(38)は「長い自粛生活で、外食する習慣がなくなった人も多いのでは」と心配する。要請を守らず営業してきた店については「仕入れ業者や生産者さんを支えた面もあったと思う。迷惑とも言い切れない」。宣言の全面解除には「またすぐにリバウンドするのでは」と不安も大きい。
42席ある客席を半分に絞り、2時間以内の利用を呼びかける。「ゆっくりと慎重に、日常を取り戻す方法を探る1カ月にしたい」
那覇市中心部にある居酒屋店主の男性(47)は、これまで要請に従って休業してきたが「周りの店の動向次第では、通常営業に踏み切ることも考える」と話す。
これまで何度も迷ってきた…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル