27年間、後悔が消えない。なぜ、あの日、あの場所に行ってしまったのかと。
「七夕感謝デー」
日曜日の朝、群馬県大泉町の横山保雄さん(56)は自分あてのダイレクトメールがふと気になった。送り主は何回か行ったことがあるパチンコ店。1996年7月7日のことだ。
「行ってみようか」
妻(57)と当時4歳の長女ゆかりさん、生後7カ月の妹を車に乗せ、同町に隣接する太田市の幹線道路沿いにあるパチンコ店をめざした。
ゆかりさんをパチンコ店に連れて行ったことは数回あったが、その店は初めて。家族そろって自体が初めてだった。午前10時ごろに入店し、まずスロットを打ち、それからパチンコ台に向かった。妻は次女をおぶって、違う列でパチンコを打った。他にも親子連れが来ていた。そんな時代だった。
ゆかりさんは妻と一緒に外に出て車内で昼食を済ませた後、妻のもとに「また、おなかが減った」と言いに来た。残したおにぎりとジュースを、出入り口そばの長いすで食べるよう伝えた。
しばらくして再び、ゆかりさんが妻のもとに近づいてきた。
「○○のおじちゃんがいる」
店内のBGMやパチンコの音にかき消され、よく聞き取れなかった。妻は「付いていっちゃだめよ」「ちゃんと座っていてね」と伝えた。
それから10分ほど。妻がゆかりさんの姿がないことに気づいた。「ゆかりがいない」。知らされた保雄さんは店内をくまなく捜し回った。女性用のトイレも捜してもらったが、見つからない。
防犯カメラに不審な男
長いすには、おにぎりとパッ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル