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大阪市を廃止して、新たに4つの特別区を設置する『大阪都構想』の住民投票が12日に告示されました。5年ぶり2度目の住民投票で、来月1日に投開票されます。 大阪維新の会は結党以来、都構想を掲げてきました。松井代表は吉村知事とともに二重行政の解消などを訴えました。
大阪維新の会・松井一郎代表:「この大阪都構想。府市の二重行政を根元から断ち切る、制度を変えましょうということを皆さんに提案しているんです」
公明党は維新と歩調を合わせ、賛成に回りました。
公明党府本部・土岐恭生幹事長:「私たち公明党は都構想に賛成し、二重行政の解消を図りながら、大阪・関西が日本の経済を牽引(けんいん)していく」 一方、自民党は共産党とともに都構想に強く反対しています。
自民党市議団・北野妙子幹事長:「住民が最優先。住民サービスが落ちるなんてことを考えた時には、今回の住民投票はおのずと、その判断がノーになるはずである」
共産党市議団・山中智子団長:「(大阪市を)4つに分ければ、かかる費用は確実に増えます。家賃が増える、光熱水費が増える、色んなものを全部4つ準備しなければならない」 都構想では、府と市の2つの行政組織からなる大阪について、まず5年後の2025年に大阪市を廃止し、新たな行政組織として4つの特別区を設置します。その目的は、行政の役割分担にあります。大阪府は、インフラの整備や広域交通、成長戦略など、大きな政策を行います。一方で、特別区は、子育てや医療、福祉など住民に身近なサービスを行うことで、行政を効率化しようというものです。 都構想のきっかけは10年前、大阪府知事だった橋下徹氏。当時、大阪市と大阪府には水道局がそれぞれ存在するなど、行政の無駄が指摘されていました。2011年に行われたダブル選挙で都構想を掲げた大阪維新の会は、橋下氏が市長に、松井氏が府知事に当選。2015年に最初の住民投票に踏み切りました。しかし、結果は約1万票の僅差で否決。橋下氏は政界を引退しました。ところが同じ年、大阪維新の会は、再び府知事と市長のダブル選挙で勝利し、一度否決された都構想案を再提案しました。そして今年9月、当初は反対だった公明党が賛成に回り、2度目の住民投票が行われることになりました。 都構想にはデメリットも指摘されています。反対派は、特別区の設置でかえって行政コストが膨らみ、住民サービスが打ち切られると批判。また、財政運営についても4つの区で税収に差が出るなどして不安定になると懸念しています。 都構想をめぐっては、大阪市民の賛否も真っ二つに割れています。ABCテレビとJX通信社が10日、11日に大阪市内の有権者に行った世論調査では、都構想について賛成派が45.4%。反対派が42.3%でわずか3.1ポイントの僅差となっています。 今回の住民投票は、大阪だけではなく、実は国政にも影響を与える可能性があります。大阪府を「大阪都」に名称変更するには、国会で新たな法律を通さなければなりません。維新の会の松井氏らは菅総理(当時は官房長官)とたびたび会談していて、関係が近いとされています。菅政権が法整備を後押しすれば、国政で維新の協力を得て、政権基盤の安定につながる可能性もあります。ただ、菅総理は今のところ静観の構えです。
菅総理:「地域の関係者の間で、真摯な議論が行われることを期待したいと思います」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース