5歳の娘がねだったガチャ 父は「ぼてと」を思い泣いた

 出会いは2009年11月13日、小雨が降る肌寒い朝だった。

 フクダカズヤさんが自宅で妻と朝食をとっていると、鳴き声が聞こえてきた。

 ダイニングの窓から外をのぞくと、プランターの上にずぶぬれの子猫がいた。

 近くの電柱にいたカラスが狙っているように見えたが、仕事に行く時間が迫っていた。

 ハラハラしながらそのまま出社。夜に帰宅すると、妻が子猫を自宅に迎え入れていた。

 「ぽてと」と名付けられたオスの子猫は、人懐っこくて甘えん坊だった。

 椅子に座っているとヒザの上に、寝ていると体の上に乗ってきて、一緒に寝たがった。

長女が生まれて

 5年半後の2015年5月、フクダさん夫婦に長女が生まれた。

 ぽてとがベビーベッドに一緒に寝ることもあったが、赤ちゃんに手を出したことは一度もなかった。

 ハイハイを覚えたころは、寄り添うように一緒に歩くこともあった。

 「もしかしてお兄ちゃん気取り?」と思いながら眺めていた。

 朝食を食べていると、必ず食卓に上がってきて長女の目の前に座った。

 食パンをちょっとだけちぎってもらって、それを食べるのが日課になった。

 長女には、親指はお父さん指、人さし指はお母さん指、中指は「お兄さん指、ぽてと指」と教えた。

 ぽてとの方が抱っこされるようになると、兄と妹の関係はすっかり逆転してしまった。

「余命1年」の宣告

 フクダさんが40歳で独立して、模型制作を手がけるプロモデラーになって2年が経った2018年9月。

 ワクチン接種のため動物病院に行った際、「心臓から雑音が聞こえる」と言われた。

 後日、循環器系専門の獣医師に…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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