ひとりの青年が自転車で全国を回る旅に出た。行く先々で小学校を訪ね、頭を下げた。「子どもの絵を集めて展示したいんです」。1年かけて500枚を超す絵が集まり、東京に戻って展示した。それから50年余り。自宅で眠っていた絵が本になった。原画展も開かれ、子どもが描いた昭和の風景がよみがえる。
埼玉県川越市の鈴木浩さん(76)。大学を卒業後、半年間のアルバイトで旅費をつくり、東京・中野の下宿を出発した。1969年10月、北をめざした。
背中を押したのは、デパートで見た児童画展。「よく描けてる。でもコンクールのためではなく、自由に描いた作品を並べたら面白いのでは」。昼はバイト、夜間部の授業は舟をこぎ、映画館に通いつめる日々。当時、多くの大学が学園紛争で荒れていたが、「入っていけない」「でも、こんなことしていていいのか」。悩んだ末、就職ではなく旅を選んだ。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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