終戦後に接収されたとされる一本の日本刀が、フランスでオークションにかけられた。木札には愛媛県の地名と「宇都宮政徳」の名。「持ち主にかえしたい」と考えたフランス人男性の奔走が始まった。
4月上旬、フランス南西部に住むミシェル・ラビニュさん(64)の目は、オークションのカタログで見つけた刀に付く木札の文字にひきつけられた。
「愛媛縣東宇和郡田之筋村大字常定寺 宇都宮政徳行」
漢字はまったく分からない。説明には、「1945年の日本降伏に伴い日本の軍人から接収された」とあった。知人を頼って調べ、日本の地名と人名だと分かった。
かねて日本刀の美しさに魅せられてきた。「ささやかなコレクター」として、限られた予算で購入した数本を手元におく。接収の経緯や刀が象徴する精神性についても、文献や友人の日本人から学んだことがあった。
「宇都宮さんは返還を願っていたのではないか。名前も住所も書いてある刀がオークションにかけられていいはずがない」。だめ元で捜すことを決意した。
そこからは、壁にぶつかりながらも熱意がつながっていった。
500キロ先のオークション会場まで車飛ばした
木札に書かれていた「常定寺…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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