6年前に殺された母とミカンの木 「あの味はつくれん」

 誰からも好かれていた母がなぜ命を奪われたのか――。愛知県蒲郡市神ノ郷町でミカン農家の杉浦加津代さん(当時73)が殺害された事件は、10日で発覚から6年を迎える。残された長男夫婦は、時の経過にもどかしさを感じながら犯人検挙を待ち望んでいる。

 ミカン産地として知られる蒲郡市中央部の山あいに、加津代さんが育てていた畑が広がる。三河湾を望む畑までの山道は、加津代さんの散歩コースだった。事件後、知人に貸していた畑が返ってきたため、昨年からは長男の司さん(57)と妻の多香子さん(57)が手入れをしている。

 ミカンの収穫が終わり、デコポンが実る。「おふくろのミカンは味が濃厚で、本当においしかった。あんな風にはつくれん」。背丈ほどの高さに伸びた木を前に、司さんは言った。

 2人は今、事件が風化することに不安を募らせる。捜査に大きな進展がないまま時間だけが過ぎる。

 親族は年を重ね、加津代さん…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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