緊急事態宣言が10都道府県に出ているなかで、6月に入って飲食店への客足が全国的に増加傾向にあるという調査結果を、飲食店の顧客管理システムを販売する「トレタ」(東京)がまとめた。
グルメサイトなどを経由して店に入った予約や、直接訪れた客数などのデータを一括管理するトレタのシステムを使う全国の約1万店を対象に分析。「第4波」の感染拡大であらためて緊急事態宣言が出た4月下旬以降、最も客数が減った5月の第3週(17~23日)と、6月の第2週(7~13日)を比較した。
それによると、6月第2週の全国の客数は、コロナ禍前の2019年の同時期の35・9%。5月3週目は28・7%で、7・2ポイント増えていた。
地域別に見ると、緊急事態宣言が出ていない四国が21・4ポイント増(6月第2週の19年同期比50・7%)と最も増え、次いで同じく東北が14・6ポイント増(同57・4%)。福岡県と沖縄県に宣言が出ている九州・沖縄が14・1ポイント増(同34・7%)と続いた。
緊急事態宣言や、宣言に準じる「まん延防止等重点措置」が出されている首都圏の1都3県も6・6ポイント増(同35・6%)だった。在宅勤務の普及で、都内ではこれまでオフィス街より住宅地に近いエリアの方が客数の減少が穏やかだったが、世田谷区が4・2ポイント増(同48・0%)だった一方で、港区が10・0ポイント増(同43・2%)、渋谷区が7・6ポイント増(同50・7%)と、繁華街での客足の戻りが見られた。
来店人数別に見ると、1~2人が10・2ポイント増(同62・0%)と依然最も多いが、3~4人が9・0ポイント増(同42・5%)、5~6人が6・8ポイント増(同27・7%)と大きく増えていた。
飲食店の規模でも違いが見られた。20~39席(同48・6%)と40~59席(同44・0%)の店がいずれも9・4ポイント増えたのに対し、200席以上の大型店は4・0ポイント増(同27・6%)だった。
多くの自治体で酒類提供の自粛や午後8時までの時短営業を要請しているにもかかわらず、時間帯別の来店状況を見ると、午後8時~午前0時の深夜帯が6・1ポイント増加。要請に従わず、深夜帯も営業を続ける店が増えていることがうかがえる。
飲食業界の18団体が10日に都内で開催した緊急記者会見では、3度目の緊急事態宣言の延長で政府や自治体の要請に従わない店が増えているとした見解が示され、「行政の不十分な対策にこらえきれず、現在は営業を再開する店も出ている。業界が分断されている」と訴えた。(牛尾梓)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル