NPO法人「抱樸」理事長 奥田知志さん
松ちゃんは2009年1月に拘置所から出てきたが、逮捕の原因となったアルコール依存症の治療を周りが勧めても、かたくなに入院を拒んだ。その代わりに「1年間はお酒を飲まない」と約束し、「達成できたら故郷を訪ねる旅に出る」という目標を定めた。
正直、絶対無理だと思った。そんな僕らの予測に反して、松ちゃんは酒との縁を切った。見事だった。
こうして松ちゃんが少年時代を過ごした四国松山を旅行することになった。付き添う僕の費用を松ちゃんは「俺が持つ」と、この間にためたお金を差し出した。「自分のことだけで精いっぱい」な日々は終わり、心の中に他者が生き¥始めていると感じた。気持ちだけを受け取って、とにかく出発した。松ちゃんと高校生のころからボランティアとして関わってきたNPO法人のスタッフ、田口ゆずり君も同行した。
夜に小倉を出港したフェリー…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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