「このたび、初めて愛の濃度が分かりました」
60年余り連れ添い、5年前から病に伏した夫に、岡崎靖子さんはこんな手紙を送った。コロナ禍で面会がかなわず、病院の窓口に届けるかたちで。
そして、介護・看病するなかで息子にかけられた大切な言葉を文章につづり、高齢者の主張大会に応募した。最優秀賞に選ばれた。
ただ、受賞が決まる直前、夫の命は尽きた。
遅刻の常習犯の原因は
靖子さんは岡山市北区に住む84歳。22歳の時、5歳上の和雄さんとお見合いで初対面した。
和雄さんは小学校教員だというが、緊張からか口数は少なかった。
日本三名園の一つ、岡山後楽園での初デート。和雄さんは1時間の大遅刻をした。
小豆島へ向かった2回目のデートでも遅刻。危うく船に乗り遅れるところだった。
「時間を守れない人は嫌」。そう思った。
いつも「ありがとう」と言ってくれた病床の夫、介護に疲れた時にカメラ越しに「ご苦労さん」と声をかけてくれた息子…。そんな家族の物語とともに、原稿の後半では靖子さんの大切なラブレターの内容を紹介します。
けれども、後で知った。遅刻…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル