「一票の格差」が最大3・03倍だった7月の参院選は投票価値の平等を定めた憲法に反するとして、弁護士グループが愛知と岐阜、三重の選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決が25日、名古屋高裁であった。土田昭彦裁判長は「立法府が解決に向けて議論を重ねている」として「合憲」との判断を示し、選挙無効の請求を棄却した。原告側は即日上告した。
二つの弁護士グループが全国で起こした16件の訴訟のうち判決は3件目。大阪高裁と東京高裁は違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断しており、「合憲」と判断したのは初めて。各地の判決は11月中に出そろい、最高裁が来年にも統一判断を示す見通しだ。
判決は、前々回(2016年)選挙時と比べて、前回(19年)と今年7月の選挙区間の一票の格差がいずれも縮小したと指摘。その上で、「立法府が格差是正に向けた選挙制度の改革などに取り組んでいる姿勢が失われているとはいえない」と述べ、憲法違反はないと結論づけた。
愛知選挙区の原告の内田隆さん(47)は判決後の会見で、「努力や準備をしているからいい、というのは市民感覚では到底納得できない。最高裁の判断を仰ぎたい」と話した。
一票の格差は、定数1あたりの有権者数が選挙区ごとに異なるために生じる。7月の参院選では、最少の福井選挙区に対し、最多の神奈川選挙区は3・03倍。神奈川選挙区の一票の価値は、福井選挙区の「0・33票」分になっていた。福井選挙区と比較すると、愛知選挙区は2・41倍、岐阜選挙区は2・59倍、三重選挙区は2・32倍だった。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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