終戦直後のわずか1年8カ月間だけ、小学校の校舎専用として作られた半透明の窓ガラスがあった。表面に細い線が入っていることから通称「銀線(ぎんせん)ガラス」。この珍しいガラスが、兵庫県川西市の里山に残っている元小学校で、75年たった今も現役で使われている。
「見たことない」 業者も驚き
1904(明治37)年、東谷村(現在の川西市)の黒川地区で、木造の校舎1棟が建ち、黒川小学校として使われた。
太平洋戦争中、都市部からの疎開で児童が増えて手狭になったため47年(昭和22)年、南側に1棟を増築した。
だが戦後、里山では過疎化が進んだ。77年、黒川小は休校に。2棟の校舎は黒川公民館になった。
黒川地区は2009年、「にほんの里100選」に選ばれた。19年には、元校舎がNHKの連続テレビ小説「スカーレット」のロケ地にも選ばれている。
その年の冬。昭和に増築されたほうの元校舎の窓ガラスが割れた。入れ替え工事に訪れた業者は、割れたガラスを見て驚いた。
「こんなの見たことない」
ワイヤが入っているかのような線があり、厚さは通常の窓ガラスよりも薄い、わずか2ミリ。
「ガラス博士」で知られる大阪府板硝子(がらす)商工業協同組合理事長の大村宗一郎さん(79)に連絡すると、「それ、銀線ガラスちゃうか」と現地に飛んできた。
数えてみると、約30枚が窓枠に入って残っていた。
危惧したGHQ
他にない見た目のガラスは、なぜうまれたのか。
ガラスメーカー大手・旭硝子…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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