人々の命も街も消し去った「あの日」を形にしたい。77年間、さまざまなアーティストたちをそう突き動かし続けるテーマがある。1945年8月6日、米軍によって原爆が投下された「ヒロシマ」。悲しみ、怒り、そして未来への希望。色とりどりの思いが託され、見る人の心に訴えかける。
未来託す「分身〈アート〉」
広島市の原爆ドーム隣にある観光施設「おりづるタワー」。らせん状に張り巡らされた滑り台で、家族連れらが笑顔を見せる。そばにある9層のスロープの壁にこの春、壁画が登場した。被爆100年の未来へ願いを残す「ウォールアートプロジェクト2045 NINE HOPES」だ。
壁画の見学には入場料(大人1700円、中高生900円、小学生700円、4歳以上の幼児500円)が必要です。
一番下の壁に描かれているのは、水平線に沈む金色の夕日。カラフルな光が放たれる。
山形県鶴岡市の画家、三浦恒祺(つねき)さん(92)が、地元の日本海の夕景をモチーフに平和を願って描いた作品が原画だ。新型コロナの感染拡大や高齢のため、広島で制作できない三浦さんに代わり、美術仲間や大学生が壁に向かった。
77年前の8月6日、広島の広陵中(現・広陵高)2年だった三浦さんは爆心地の北4キロほどで被爆。やけどを負った人たち、炎と煙に包まれた街。15歳の目で見た光景は脳裏から離れなかった。
子どもの頃から好きだった絵…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル