84歳女性、「2億円」を故郷に寄付 「教育のため」亡き夫と共に

福田祥史

 子どもたちの教育に役立てて欲しいと、元教員の女性が茨城県稲敷市に2億円相当の株式証券を寄付した。亡くなった夫とともに教員として長く勤めた地域に、恩返しがしたかったという。

 千葉県成田市の長谷川淳子(あつこ)さん(84)は現在の稲敷市内出身で、養護教諭として市内東地区や桜川地区の小中学校で勤務した。寄付は今年1月に87歳で亡くなった夫の義賢(よしかた)さんが言い出した。義賢さんも教諭として両地区の小学校で長く教えた。

 市教育委員会によると、昨年10月に長谷川さん側から寄付の意向が伝えられ、受け入れに向けて動き出した。まもなく、義賢さんの体調が悪化し帰らぬ人となったが、相続した長谷川さんから今年11月8日に株式が市へ寄贈され、同14日に現金化したという。

 長谷川さんによると、義賢さんには、自分が経済的に苦労しながら学んだ経験や、より高い教育も受けたかったとの思いがあり、「大学院や難関大学をめざす子どもたちの役に立てれば」と話していたという。ただ、長谷川さんは使い道については、「私は大学院にこだわらなくていいと思っている」と話す。

 市は全額を基金にして、奨学金などに充てるため、必要な条例と予算を5日開会の市議会定例会に提案。来春をめざして具体的な貸与の要項などを決める。

 今月1日にあった寄贈式では、筧信太郎市長が長谷川さんに、「大変ありがたい。稲敷の子どもたちが立派に学べるよう、援助していく」と感謝の気持ちを伝えた。(福田祥史)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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