参院選から一夜明けた22日、自民党総裁である安倍晋三首相は「憲法改正の議論は行うべきだというのが国民の審判だ」と述べ、与野党の枠を越えて3分の2の賛同を得られる憲法改正案を作りたいとした。与党で改選議席の過半数ラインを上回ったものの、いわゆる改憲勢力は3分の2に届かなかった今回の参院選をどう見るか。政治学者の内山融・東京大学大学院教授に寄稿してもらいました。
自公両党で改選過半数に達する
7月21日に行われた参議院選挙では、自民党が57議席、公明党が14議席と与党で合わせて71議席を獲得し、改選議席(124議席)の過半数に達した。非改選議席と合わせると、与党が全議席245のうち141議席を占めることとなった。対する野党は、立憲民主党が17議席を得て倍増に近い大きな伸びを見せた一方で、国民民主党は6議席と選挙前から減らした。日本共産党は7、日本維新の会は10、社会民主党は1、れいわ新選組は2、それぞれ議席を獲得した。なお、与党に維新などを加えたいわゆる「改憲勢力」は、憲法改正の発議に必要な3分の2に届かなかった。
選挙前、安倍総理は議席目標について、与党で非改選議席も含めた過半数としていた。全議席245の過半数は123であり、与党の非改選議席は70であったので、今回は53議席取ればよい計算であった。結果は上記のとおりこの目標を大きく超えるものだった。選挙前の与党改選議席(78)は下回ることとなったものの、総じていえば、与党の勝利と言ってもよいであろう。
以下、この選挙の争点、与党勝利の理由、今後の政局について見ていきたい。
「多様性」掲げる訴え目立つ
今回の参院選では、消費税、年金・社会保障、アベノミクスの評価などの経済政策、そして憲法改正などの争点があったが、その中でも着目すべき争点の一つとしては、個人の多様な生き方を積極的に認めていくダイバーシティ(多様性)があった。特に立憲民主がこの争点を強調したようである。立憲民主は、選択的夫婦別姓の導入、LGBT差別解消法の制定、同性婚を可能とする法改正の実現などを掲げた。国民民主も、選択的夫婦別姓の実現に加え、差別を禁止する法律の制定を主張した。共産は、LGBT差別対策やヘイトスピーチ根絶を掲げた。維新も同性婚を認めることを主張した。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース