9歳に手術の事例も 強制不妊、深刻な被害浮き彫り 国の報告書原案

 旧優生保護法(旧法、1948~96年)下で、障害や特定の疾患がある人たちが不妊手術を強いられたことをめぐり、立法経緯や被害事実などについて衆参の調査室などがまとめた報告書原案の全文が判明した。9歳の児童に手術が行われたり、法定の手続きを経なかったりと、深刻な被害の実態や法令逸脱の疑いがある運用が、国の報告書原案で裏付けられた。

 旧法下では、約2万5千件の手術が実施された。法律に基づく報告書原案は12日に両院の厚生労働委員長に提出されたが、千ページ超の全文は週明けの議長提出までは非公表。報道機関には7ページの概要のみ公開されていた。ずさんな運用は、原案全体のうち、自治体や医療機関などへの調査から分かった。

 原案には、自治体資料に基づき「最年少は、9歳の事例」と明記。昭和30年代後半に男児が、昭和40年代後半に女児が、それぞれ不妊手術を受けた。理由や背景は不明。最年長は当時57歳の男性だった。

 旧厚生省は、手術にあたり、だますことが許されると通知。実際に「盲腸手術の時に本人にわからないうちに(手術を)した」といった事例があった。

 旧法で認められていたのは、卵管や精管を縛るなどの不妊手術。規定以外で生殖不能を目的にした手術やX線照射は「故なく行ってはならない」と定められ、罰則もあった。旧厚生省は54年、法定外の睾丸(こうがん)摘出についての自治体からの照会に、正当な理由は「治療効果がある場合」「緊急避難行為」に限られると回答している。

 だが子宮摘出や放射線照射といった法定外手術などが横行。原案には「福祉施設長が生理を止める目的で手術(子宮摘出)を希望した事例があった」と記載されている。

 本人の同意不要とされた手術…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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