94年前、ドイツの飛行船が降りてきた 振る舞ったカレーが運んだ縁

 茨城県土浦市は、カレーによる街おこしに取り組んで今年で20年目を迎える。特色あるカレー料理を提供する飲食店が多く、毎年秋にはカレーフェスティバルも開催される。カレーを味わいながら、そこに込められた思いを聞いた。

カレーを食べに来る街にしたい

 JR常磐線土浦駅からバス通りを10分ほど歩くと、中華料理店「福来軒」がある。店の前にあるのぼりに「つちうら咖喱(カリー)物語」と書かれ、飛行船がデザインされていた。

 名物はレンコンカレーラーメン(税込み800円)。地元名産のレンコンの唐揚げと、スパイシーなキーマカレーがのっている。カレー味のスープは、しっかりしたうまみを感じるが、しつこくない。藤沢一志社長(68)は「麺は自家製で、レンコンの粉末を練り込んであります」。

 メニューには他にレンコンカレーつけ麺(同)やツェッペリンコロッケカレー(同)なども並ぶ。

 つちうら咖喱物語は、土浦商工会議所に所属する飲食店など約40の事業者でつくる部会が、独自のカレーの開発と味のレベル向上をめざす取り組みの名前だ。これまで東京の人気カレー店のオーナーを講師に研修を開くなどしてきた。

 部会長を務める藤沢さんは、カレーラーメンの開発には苦労したという。

 「通常の黄色い麺はカレーの成分と反応して紫色になってしまう。材料を工夫し、変色しない麺を作り出しました」

 開発中のメニューを持ち寄る試食会では、講師から「もっと見栄え良く」「味にパンチが足りない」など注文が相次いだ。一つずつ克服して、ようやく完成にこぎ着けた。

 咖喱物語では、特産品のレンコンを使うことが唯一の条件で、あとは各店が工夫を凝らす。ジンギスカン店のスープカレーや和菓子店のカレーパイなどメニューは多様性に富んでいる。土浦商議所は、レトルトの土浦ツェッペリンカレー(税込み540円)を販売している。濃厚な味わいのカレーと、シャキシャキしたレンコンの歯ごたえが楽しめる。

 藤沢さんは「年1回のカレーフェスだけでなく、普段から客がカレーを食べに来る街にするのが目標。土浦駅周辺などに、カレーを出す店をもっと増やしたい」と意気込む。

歓迎式典の裏で

 ところで、なぜ土浦でカレーなのか。

 市は2004年、「食」で街…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment