田添聖史 井岡諒 玉置太郎
96歳になる大櫛(おおぐし)久子さんの一人暮らしの部屋には、同じ団地の住民から、しばしば電話がある。
「お米ちょうだい」
「ヘルパーが来たら、代わりに家の鍵を開けて」
「救急車を呼んで」
大櫛さんの住む神戸市営住宅は、阪神・淡路大震災の被災者向けの「復興住宅」だ。高層団地が立ち並ぶ地域にあり、約180世帯が暮らす。
入居から23年。高齢者が増えた住宅で、大櫛さんは管理人を務めている。
1995年1月17日の地震で、大櫛さんが住んでいた神戸市兵庫区のマンションは倒壊。避難所、親族宅、仮設住宅を転々とした。99年、5回目の抽選で、東灘区の復興住宅を当てた。
被災者の入居から2年ほどたっていたが、自治会はなく、敷地にゴミが散乱していた。
「このままでは本人がつぶれる」
「安心して住める環境とちゃ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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