【LastDay】97歳「せっちゃん」の居酒屋 最後の一日に密着〈本編は記事後半にあります〉=西田堅一、井手さゆり、小林孝也撮影
山形市内の飲み屋街の一角に居酒屋「安愚楽(あぐら)」はあった。店主は97歳の永井節さん。「せっちゃん」の愛称で半世紀以上、一人でカウンターに立ち続けてきた。だが、今年5月に亡くなり、店も閉店することに。最後の営業日は6月30日。その1日に密着した。
愛された店、思い出の場所、ひたむきに続けてきた務め…。いつか来る「最後の日」に密着するシリーズ映像企画「Last Day」、第1話は、とある居酒屋の最後の1日です。記事後半では、ショートドキュメンタリーもご覧頂けます。
開店前の午前10時。
2階建ての雑居ビルの1階にある店内に、長男の加藤博さん(73)の姿があった。節さんが体調を崩した約1年前から、代わりにカウンターに立ってきた。
カウンター5席と小上がりだけの店内。壁はたばこの煙で茶色く染まり、棚には手塚治虫の漫画と昭和歌謡のカセットが並ぶ。博さんは常連客が残した数十本のボトルを次々とカウンターに載せていく。この日、全ての酒を振る舞う。「残してても仕方ないからね」
雑居ビルは、節さんが他の飲食店7店と協力し、1967年に住居兼店舗として建てた。だが、営業を続けているのは安愚楽のみだ。
店主の節さんは東京市牛込区…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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