TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。5月19日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、政策コンサルタントの室伏謙一さんが、“ショックドクトリン”さらには“9月入学”について論じました。
◆東日本大震災時もあったショックドクトリンとは?
安倍首相は9月入学について、「有力な選択肢の1つだろう」と記者会見で述べました。そして、政府は入学時期だけを9月に移すなどのシミュレーションをした結果、実現には多くの課題があり、今年9月の導入は見送ることを明らかにしたと「毎日新聞」が報じています。
“ショックドクトリン”とは、惨事便乗型資本主義や惨事便乗商法のことで、「はっきり言えば“火事場泥棒的商法”」と室伏さん。現在のような感染症の危機や戦争・内戦、災害時などに便乗し、都合のいいように制度や仕組みを変えてしまうこと。これは、東日本大震災のときにもあったそうです。
そんなショックドクトリンは現政権でも進んでおり、「種苗法改正案」や「国家戦略特区法改正案(スーパーシティ法案)」、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」、「中小企業事業継承円滑化法改正案」などが国会で通ってしまいそうになっている状況だと室伏さん。
そして、先出の「9月入学」もその1つ。漠然とした議論が進んでいますが、室伏さんは「小中高校と大学以上を分けて考えないといけない。大学以上は9月入学を選択肢として検討してもいい」と持論を展開。
例えば、室伏さんの母校である国際基督教大学(ICU)は4月と9月、2つの入学時期があるものの特に問題はないそう。しかし、小中高校は連続してあがっていくこともあり、「それをいきなり変えるのは影響が大き過ぎる」と不安視。
また、イギリスなどでは高校卒業から大学入学まで“ギャップイヤー”というモラトリアムがあるそう。日本でも仮に3月に高校卒業、9月に大学入学としても、その間に「さまざまな経験や研鑽を積むなど、留学の準備期間に充てられる」と室伏さんは言います。
◆9月入学がグローバルスタンダードは大ウソ!?
なかには、9月入学はグローバルスタンダードだと主張する人がいますが、「実はそうじゃない」と語気を強めます。文部科学省の「世界の学校体系」には世界の学校の年度開始時期がまとめられ、バラバラであることが一目瞭然。「世界が全て9月入学というのは大ウソ」と指摘します。
結論として、室伏さんは「小中高校に9月入学を導入してもデメリットが多く、メリットがない。大学だけ変えればどうにでもなる」と力説。そして、「9月入学をどうするのかではなく、学校が再開できるところから学習を再開すればいいだけの話」と述べ、「夏休みなど学習機会はいくらでも作れる」と主張。
9月入学が話題になると、そのほうがかっこいいというイメージ論が跋扈(ばっこ)したり、既得権者が反対するなど根拠のない話が生まれることもあるそうですが、「そういったことに騙されないように。ショックドクトリンに騙されないように」と室伏さんは念押ししていました。
教育の現場に携わる立命館大学准教授で社会学者の富永京子さんも9月入学は「今じゃない」と切り捨て、9月にずらした場合、その年だけ1学年が2分の1増え、「いろいろな倍率が異常に上がり、年代間の不平等を拡大してしまう」と危惧。
MCの堀潤も「本当に今じゃない。スーパーシティ法案や種苗法などにしてもゆっくりとやりたいし、メディアは国会中継や予算委員会など全て解説付きでやったらいいと思う」と嘆いていました。
番組では、視聴者に「ショックドクトリンという言葉を知っていますか?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。
◆ショックドクトリンという言葉を知っていますか?
知っている……432票
知らない……2,715票
Source : 国内 – Yahoo!ニュース