金子和史
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に賄賂を渡したとして贈賄罪に問われた広告大手「ADKホールディングス」前社長の植野伸一被告(69)の公判が13日、東京地裁であった。植野前社長は、賄賂とされたコンサルタント料について「困っている時にスポンサーが決まったことへのお礼の気持ちがあった」と賄賂性を認めつつ、社内での主導性は否定した。
弁護側は冒頭陳述で、植野前社長が五輪事業を「主導的には推進していない」とし、共に起訴された元専務と元五輪担当本部長に「一任していた」と主張した。2人が大会組織委元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=とのやり取りについて、植野前社長に「虚偽報告することがあった」とも述べた。
「助けてください」発言を否定
検察側は初公判で、スポンサーを獲得できなかった植野前社長が高橋元理事に「助けてください」と訴えたと主張した。植野前社長は被告人質問で、「そういう言葉は使っていない。お願いはしたが、儀礼的なもの」と発言を否定した。
ADKが最終的に組織委から得た手数料の一部を元理事側に送金した経緯についても、事前報告はなく、「知っていたら確実に止めていた」と述べた。
植野前社長は、賄賂性を否認して約3カ月、逮捕・勾留された後に認める姿勢に転じた。この経緯については「勾留中に証拠を見て、お礼の趣旨があったと言われてもしょうがないと思った」と説明した。(金子和史)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル