川嶋かえ
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に対する贈賄罪に問われた広告大手「ADKホールディングス」前社長・植野伸一被告(69)に対し、東京地裁(友重雅裕裁判長)は12日、懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。
5ルートで計15人が起訴された一連の事件で判決が出るのは6件目。
判決によると、植野前社長は部下の元専務、元五輪担当本部長=同罪で有罪判決が確定=と共謀し、2014年4月~18年3月、組織委元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=に対し、「販売協力代理店」に選任されて大会スポンサーの契約業務を担当できるよう依頼。19年11月~22年1月に元理事のコンサルタント会社「コモンズ」に計1485万円の賄賂を送金した。
ADKルートでは、高橋元理事は計約4800万円の受託収賄罪で起訴された一方、ADK側は贈賄罪の公訴時効(3年)を踏まえて一部で起訴された。
弁護側「部下の供述は虚偽」
公判で、植野前社長は起訴内容を認めたが、社内での主導性は否定した。検察側は論告で、「部下に任せていたと自己の責任を小さく見せようとしている」と批判した。
弁護側は、植野前社長はコンサル料の違法性をめぐる報告は受けておらず、報告したとする元専務らの供述は「虚偽だ」として、執行猶予付きの判決を求めていた。
一連の事件では、紳士服大手「AOKIホールディングス」の前会長ら3人、ADKの元幹部2人、玩具会社「サン・アロー」の前社長ら2人、出版大手「KADOKAWA」の元五輪担当室長、コンサル会社「アミューズ」(解散)の元代表の計9人に、既に有罪判決が出ている。
高橋元理事は、5ルートで計約2億円の賄賂を受け取ったという起訴内容を否認し、公判の見通しは立っていない。(川嶋かえ)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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