東京都の江戸川区児童相談所が業務の効率化を目的に、AI(人工知能)を活用して電話の通話音声をリアルタイムで文字に起こすシステムを導入する。虐待通告、保護者や他機関との連絡など1日約300件もある電話対応の向上とともに、その後の記録作成の効率化がねらいだ。江戸川区児相によると、児相が業務の効率化のためにAIを実践的に導入するのは全国初という。
江戸川区児相は昨年4月に開設したばかり。「通話音声分析・モニタリングシステム」と名付け、9月1日に対応機器を10台設置して試行的に運用を開始、来年1月には100台に増やして本格稼働を目指すとしている。
音声マイニングと呼ばれるツールを活用したこのシステムを使うと、電話の通話音声が即座に文字化されて画面に打ち出されるため、通話者以外の人も同時に内容を把握できる。保護者からの抗議など対応が難しいケースでは上司が同時進行で助言できるほか、虐待通告では電話で話している内容を周囲が把握し、対応のための次の準備を進められるという。
通話内容に応じ、参考になる情報や参照するべきマニュアルなども画面に示されるため、的確な情報を相手に提供することが可能だ。また、「警察」「リストカット」など一定の言葉が相手から出ると、アラームが表示されるほか、通話の内容から相手の感情も分析される。職員はそれらの情報を上司らと共有しながら注意深くやりとりをすることができる。
通話が終われば、内容が自動で文字で要約されるため、これまで職員の大きな負担だった記録の作成が効率よくできることになる。
児相やデータサイエンスに詳しい花園大学の和田一郎教授(子ども家庭福祉)によると、リスクアセスメント評価など虐待対応支援を目的とした児相へのAI導入はすでに三重県が行っているが、業務の効率化を目的にしたのは江戸川区が初めてという。
和田教授は「画期的な取り組…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル