田中紳顕、高嶋将之
税金や医療費の還付があるとうそをついて「保証金」の名目でお金をだまし取る「還付金詐欺」を防ごうと、銀行とコンビニの業界団体が手を携えて動き出した。
詐欺グループは被害者を携帯電話でATMに誘導する手口が目立つ。そこで、全国銀行協会とコンビニの業界団体・日本フランチャイズチェーン協会は29日、東京都内のすべての銀行とコンビニのATMで携帯電話の利用を自粛するよう促す取り組みを始め、警視庁とも合意した。こうした合意は全国で初めて。
還付金詐欺は特殊詐欺の1類型。自治体の職員などを装う詐欺グループの一味は「税金の還付がある」と被害者に電話をかけ、ATMに誘導する。電話をつないだまま被害者にATMを操作させ、保証金として指定の口座に送金させるという手口だ。
全国の警察が昨年中に把握した被害は1804件、被害の総額は約25億円に上る。今年はさらに深刻になり、1~4月だけで1001件、約11億6千万円と昨年の同じ期間の倍近くに増えた。被害者の9割は65歳以上だという。
取り組みでは、銀行とコンビニがATMで客に携帯の利用自粛を促す。ちらしやポスター、声かけで協力を求めるという。一方、警視庁もパトロールや防犯イベントで周知し、客から抗議を受けてトラブルになった店舗などに駆けつける。
都内に本店を置く城南信用金庫と多摩信用金庫が4月から先行実施していた。顧客の利便性の低下よりも顧客の財産保護を優先し、銀行とコンビニ業界も歩調を合わせた。
全国銀行協会の岩本秀治専務理事は「被害の撲滅に向けてしっかり取り組む」、日本フランチャイズチェーン協会の大日方(おびなた)良光専務理事は「未然防止の活動を進めていく」と話した。(田中紳顕、高嶋将之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル