【兵庫】ある日、突然出くわした誰かのピンチ。たまたま見かけた人の一言が、解決につながった。(大下美倫)
神戸市長田区の商業施設にある2台のATM。その一方を、70代の女性が操作していた。6月4日のことだ。
高木裕美さん(49)と赤穂有紀子さん(56)は、順番待ちの列にいた。互いに面識はないが、同じお年寄りの女性が気になっていた。
女性はまごついた様子で、かばんの中をごそごそ。手元では携帯電話が何度も鳴り、たまに電話に出ては、会話をしている。
詐欺なのでは――。
疑念を抱いた2人。でも家族との電話かも。確信は持てずにいた。
先に高木さんの順番が回ってきた。隣ではまだ、女性の操作が続く。
「大丈夫?」と聞いてみた。「大丈夫、大丈夫」。女性はそう答えた。
だが次の瞬間、女性が電話相手に発した言葉に、はっとした。
女性が電話で伝えたのは、口座の残高。相手が家族であっても、残高のやりとりをするのはおかしい。
いてもたってもいられなくな…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル